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ネーミング発想法

ネーミング発想法
商品名や社名開発におけるネーミングの考え方から開発の手順、商標権についての様々な対処法を、多くの具体例を示しながらわかりやすくまとめた。ネーミングのヒントとなる要素もふんだんに盛り込まれており、実際のネーミング開発の手引書としても最適。

日経文庫/日本経済新聞社
2002年2月発売
新書判
ISBN-10: 4532108497
ISBN-13: 978-4532108496

【目次】

  1. ネーミングとは何か
  2. ネーミングのプロセス
  3. 方式に則って造語する「言葉の発明」
  4. 辞書の中から見つけ出す「言葉の発見」
  5. 視点を変えたネーミング発想方法
  6. ネーミングの権利をどう守っていくか

まえがき

 ここ数年、マーケティングにおけるブランドの重要性が盛んに唱えられ、多くの企業においてブランド戦略を強化する傾向が見られます。ブランドには当然ながら各々に名前がつけられており、ネーミングがなければブランドは成立しないといっても過言ではありません。
 
 ところが、ネーミングの仕事を進めていく中で、企業のネーミングに対する意識は依然として高まっていない、という現実にしばしば直面します。ブランド開発には高度で専門的な知識が必要だと思われている一方、ネーミング開発は誰にでも手軽にできるものとして扱われがちです。このように、ネーミング開発作業が軽んじられてしまうのは、ブランド戦略におけるネーミングの役割が十分に理解されてないことが原因ではないでしょうか。
 
 一般的なブランド開発の過程では、まずネーミングが考案され、続いてロゴやシンボルマークの開発、多様なコミュニケーション活動の展開によって、ブランド価値が創出されていきます。もし、ネーミングで伝えようとする内容と、デザインやCM、企業活動等の方向性がバラバラでは、統一感のあるブランド・イメージは醸成されません。一貫したブランド・コンセプトがあってはじめて、各々の要素が有機的に機能して、市場における独自性を打ち出すことができ、「強いブランド」として育っていきます。そして、そのブランド・コンセプトを端的に象徴するものこそネーミングなのです。
 
 ネーミングの価値は、企業努力に大きく左右されるのは事実です。「どんな名前であっても宣伝・広告によって浸透させればいい」との考え方もあるかもしれません。しかし、ブランド戦略を推し進めていく上で、有利な名前とそうでない名前があることは否めません。全体的なブランド戦略を踏まえた上で開発されたネーミングは、ブランドの中核となって大きな力を発揮していけます。
 
 ネーミングの仕事に携わる者として、常々思うのは、「ブランドの入口かつ根幹であるネーミングへの理解をもっと深めていただきたい」ということです。ブランド開発の第一歩として、その後のコミュニケーション戦略を牽引できる潜在能力を持ったネーミングを生み出すことは可能なのです。こうした想いを抱いていた矢先に、「ネーミング発想法」という題材で原稿の依頼をお受けすることになりました。
 
 本書では、これまで手がけた事例を中心に具体的な例を示しながら、ネーミングの発想法をわかりやすくまとめました。また、ネーミングを考案する上でヒントとなる要素をふんだんに盛り込みましたので、ご活用いただけるものと思います。
 
 最後に、本書にネーミング事例として取り上げさせていただいた各企業やご関係者の皆様に、心から感謝申しあげます。また、刊行にあたってお世話になりました日本経済新聞社出版局編集部の網野一憲編集長と佐竹美奈様に深く感謝いたします。

2002年1月
横井 惠子

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